【保護猫の里親インタビュー/北海道】なかなか里親が現れない…。葛藤を乗り越え、自ら里親になることを決意

ティガーちゃん

14年を共に過ごした先代猫を看取り、まだその悲しみが癒えないなかで出会った保護猫ティガーちゃん。里親が見つかるまで一時的に預かるものの、なかなか里親が現れない…。葛藤を乗り越え、自ら里親になることを決意したすみもとまみさん。ティガーちゃんと出会ってから現在までを語っていただきました。

「また保健所に戻すの?そんなことできないよ!」

ティガーちゃん

ーーティガーちゃんの里親になった経緯を教えてください

北海道・旭川市には動物愛護センター「あにまある」という犬や猫の保護センターがありますが、そこでは抱えきれない動物たちを市民がボランティアで保護したり、里親探しをしています。
保護ボランティアをしている方がよく買い物へ行くお店のオーナーさんでした。猫を過去に飼ったことがあるお話をすると、ぜひ!とおすすめ頂きまして。それでも先住していた猫を亡くした思い出がまだ辛かったので、次の里親さんが見つかるまで2週間ほどお預かりするという約束で預かることになりました。
2週間経過しましたが、里親さんは見つからず、あと2週間延長してほしいとのこと。
約束の4週間が経ち、やはり里親さんは見つからないとのこと。子どもたちはもう離れがたくなっていましたので「また保健所に戻すの?そんなことできないよ!」と、もうすっかり自分たちのもとで飼いたい気持ちです。
わたしも愛くるしい猫のしぐさや、どんどん柔らかくなる表情を見ていると正直可愛らしくて仕方がなかったので、引き取ることとなりました。

ーー里親になろうと思った理由はどのようなものでしたか?

ティガーちゃん里親になるつもりはなく一時的のお預かりしようという気持ちでした。
先住していた猫は、14年間一緒に暮らし、子どもたちの腕の中で看取りました。そこから4年が経過していましたが、もう次に来る猫を愛せる自信がなかったことと、最後まで看取りお別れをすることに自分が耐えられるのかの自信もありませんでした。

けれど、猫がいることで子ども同士が和やかになったり、優しくなったり、楽しそうにしていたり、わたしも心が穏やかになる気がしました。

今考えると、保護猫ボランティアさんは里親が見つかるまでと仰ったけれど、わが家へ託したかったのでは?と思っています。

ーーどのように譲渡会を探しましたか?

旭川市動物愛護センター「あにまある」でも年に2度ほど譲渡会を行っていました。また、近くの動物病院でも年に数回譲渡会を開催しています。
今回は、いつも買い物へ行くお店のオーナーさんがたまたま保護猫ボランティアをしている方だったので、譲渡会ではありませんでしたが、飼育ボランティアさんをご紹介いただきました。

ボランティアさんたちは、野良猫を見つけると餌を与え捕獲し、病院で検診を受けさせ、里親が見つかるまで無償で育てています。
もちろん猫の大好きな方たちなので、自宅の自分の飼い猫と一緒に大切に育てています。わたしが見学に行くだけで、もしかしたらその猫とお別れになるかもしれないと思われたのか、すでに涙されていました。
大切に育てていらしたのが伝わり、胸が熱くなりました。

ーー譲渡会に行く前にやったこと、不安だったことはありましたか?

前に飼っていた猫のハウスやトイレ、ケージをきれいに拭き掃除しました。不安は特にありませんでしたが、きっと離れがたくなり預かるだけでは済まなくなりそうだなとは思っていました。

名前が決まって、うちの子だと実感

ティガーちゃん

ーーティガーちゃんとの出会いはどのようなものでしたか?

飼育ボランティアさんのお宅へお邪魔すると、ケージにちょこんと座っていました。そのお宅でつけられた名前で呼ばれると、大きな目でこちらを見ていました。

ーー譲渡会の光景やそこで感じたことを教えてください

大切に育てられているのがわかりました。飼育ボランティアさんにとてもなついていたので、この猫の幸せのためにも、ここで暮せないのだろうかと思いました。

ーー譲渡会でティガーちゃんを選んだ理由を教えて下さい

ティガーちゃん飼育ボランティアさんのお宅にはその猫しかいなかったので、選びました。その前にも里親になることをお誘いいただいたことがあり、その時は以前に飼っていたのと同じ黒猫だったので、思いが重なりそうで辛くなるので、その時はやめました。

ーーティガーちゃんはどんな過去のお持ちでしたか?

兄弟姉妹で集団で暮らしていたようです。双子の妹猫は白血病のキャリアで、今も引き取り手がいなく遠いまちで暮らしていると聞きました。春頃生まれ、その年の11月に保護されたようです。

ーーティガーちゃんを決めたときに思ったこと、感じたことを教えてください

名前を付けるとウチの子になったのだなぁと思って、4週間預かった日々を思うと安堵の気持ちで涙が出ました。わたしはあまり抱かないようにしていたので、名前を付けてからは思い切り抱いたりなでたりしました。本当にうれしかったです。

そして、なくてはならない家族へ

ティガーちゃん

ーー里親になるまでの流れを教えてください

預かることに決めてから1週間後、保護猫ボランティアさんと、飼育ボランティアさんがティガーを連れてきました。ティガーが3か月間飼育ボランティアさんのお宅で使っていたケージやベッド、猫砂の一部、食べていた餌を持ってきてくれました。

ーー申し込み〜家庭訪問〜譲渡決定までのエピソードを教えてください

4週間、飼育ボランティアとして自宅で育てたあと、里親さんが見つからないということで、引き取ることに決め、ボランティアさんに一度来ていただき里親になることを正式にお受けしました。
一度猫を飼ったことがある経緯や、持っている猫の飼育グッズなどを見て頂き、安心して託して頂きました。

ーー我が家に迎えてから現在まではどのように過ごしてきましたか?

ティガーちゃん初めは、ケージから出てきませんでしたが1か月ほどしたころから居間のソファに寝転んだり子ども部屋へ遊びに行くようになりました。家族の生活リズムをつかむまでは、日中誰もにいないことにさみしくなり、スプレー行為などが続きましたが、1年経った今は全くありません。
居間では伸びきって眠り、一番場所をとるほどリラックスしたり、誰かがトイレへ行くと甘えて鳴き続けたりと可愛い存在です。もうなくてはならない家族ですね。

2度の里親経験をして、言えること

ティガーちゃん

ーーこれから里親になるひとにアドバイスをお願いします

mami_writer猫には様々な過去があります。すぐには懐かないかもしれません。もしかしたら一生懐かないこともあります。抱かせてもらえない、抱いても逃げる、家具の後ろに隠れて日中は出てこなくなるなど、様々なことがあるでしょう。わたしは2度譲渡をしてもらっていますが、幸い懐いてくれる猫でした。
保護猫は追い回されたり、餌が無くて辛い思いをしたりと、たくさんの大変な思いをした猫です。里親になるときは、どんな状況になっても、最後まで大切に育てる覚悟と絶対に捨てたりしない気持ちで、あたたかく猫を見守っていただきたいです。

飼い主:すみもと まみ
北海道在住|猫飼育歴:16年
男の子二人を育てる北海道のママライター。猫のおなかで深呼吸するのが幸せタイム。

愛猫:ティガー
猫種:キジトラ
年齢:1歳
好きなもの:抱っこ
特徴:鈴のような小さな鳴き声

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