大切なのは少しの工夫とたくさんの愛情―盲目の元保護猫「ひな」との暮らし

大切なのは少しの工夫とたくさんの愛情―盲目の元保護猫「ひな」との暮らし

我が家には、3匹の元保護猫がいます。
民家の庭で保護された姉妹猫の「梅」と「桃」、そして河川敷で保護された盲目の猫「ひな」です。
以前、ひなとの出会いをつぐねこにてご紹介しました。ひなは生まれつき眼球が無く、目が見えない猫ちゃんです。

目が見えないと聞くと、まず盲目であるがゆえの苦労が頭をよぎるかもしれません。目の見えない猫ちゃんがどういう風に暮らしているのか、不思議に思う方もいるでしょう。
実際に私もひなを家族に迎えた当時は、どう接して良いか分かりませんでした。

でも実は、盲目の猫ちゃんの生活は普通の猫ちゃんとまったく変わりません。少し工夫をするだけで、目が見えなくてもほかの猫ちゃんと同じように、思いっきり人生(猫生)を満喫できます。

保護猫には、さまざまな事情で全盲や隻眼になった子がいます。今後、縁あって目の見えない保護猫を迎えることになる方もいるかもしれません。

今回は元気いっぱいに暮らす女の子・ひなとの日々を例に、盲目の猫ちゃんとの暮らしについてお話ししたいと思います。
保護猫を家族に迎えようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

「目が見えない」というハンデに戸惑う日々

「目が見えない」というハンデに戸惑う日々

ひなが盲目だと知ると、「可哀想に」「大変だね」という言葉を投げかけられるときがあります。
目の見えない猫ちゃんが身近にいないと、そのように感じるのかもしれません。

ひなが我が家に来た当初、私が戸惑ったのは、ひなとアイコンタクトができなかったことです。

彼女が何を考えているのか、どんな気分なのか…。目を見て判断できなかったため、ひなと心を通わせることができるのか、彼女にこの家は安全だと理解してもらえるのか、自信を持てずにいました。

あまりに意思疎通ができないので、もしかしたらこの子は私が嫌いなんじゃないか?と思ったこともあります。

見た目にとらわれず、ひなという個性を見るように

見た目にとらわれず、ひなという個性を見るように

我が家に来てからしばらく経つと新しい環境に慣れてきたのか、彼女は少しずつくつろぐ姿を見せてくれるようになりました。

自然体なひなの姿を見るにつれ、私は無意識に持っていた自分の中の固定観念に気付きました。
普通とは違う外見に、「盲目というハンディキャップを持った猫」という先入観にとらわれたままひなを見ていたのです。

「ひなは目が見えない」。
そのことを気にするあまり、私はひな自身の存在、心に寄り添えていませんでした。目が見えないからこうした対応が必要なはず、こういうことを喜ぶはず…そんな考えにとらわれ、ひなだけが持つ「個性」が見えていなかったのです。

ひなの好きなこと、安心したときの仕草、ちょっとした癖…。
「ハンディキャップがある」という先入観を取り払ってひなと向き合ったとき、やっと彼女の豊かな表情や愛情表現を感じられるようになりました。

まっすぐに相手と向き合う。
1番大切なことは、1番基本的なことだったのです。

目の見えない猫に必要なのは「少しの工夫」

目の見えない猫に必要なのは「少しの工夫」

盲目の猫ちゃんと一緒に暮らすときに必要なのは、少しの工夫です。

目の見えない猫ちゃんは、一度ごはんや水、トイレの位置さえ把握すれば、あとは普通の猫ちゃんとまったく同じ生活を送ります。
ですので、ごはん・水・猫トイレの場所を変えずに固定しておくことが大切です。

また、お風呂場や洗面所、トイレなど水があって危ない場所のドアは、開けっ放しにしないように気を付けています。

遊ぶときは、カシャカシャと音が鳴るセロファン素材のおもちゃや、鈴のついたおもちゃがおすすめです。
音が出ないオーソドックスな猫じゃらしでも、地面をトントンと叩いて音を出せば、十分に遊べます。ひなはシンプルな猫じゃらしが1番好きなようです。

こうした工夫は日常生活で自然と身に付くものであり、一緒に暮らしていて特別不自由に感じたり重荷になったりしたことはありません。
盲目の猫ちゃんとの生活は、皆さんが想像するよりずっと「普通」なのです。

ハンディキャップのある猫を家族の選択肢に

ハンディキャップのある猫を家族の選択肢に

ひなはほかの猫ちゃん同様、毎日「生きていること」を目一杯楽しんでいます。その姿はたまらなく可愛くて、何にも代えられないと強く感じます。

目が見えないことは「可哀想」なことではありません。悲しいことでもありません。ひなを見ていると思います。

障害のあるなしにとらわれて、猫ちゃん達の人生(猫生)を制限してしまうこと、諦めてしまうこと。それこそが悲しいことではないでしょうか。
猫ちゃん達は皆、等しく守るべき大切な命を持っています。

今後保護猫を迎えようと考えている方には、ぜひハンディキャップを持っている猫ちゃんを家族の選択肢に加えもらいたいです。
皆さんが思っている「普通」と「障害」の壁は想像よりもずっと薄く、低いものです。必要なのは少しの工夫と、たくさんの愛情だと感じます。

というわけで、今回は「盲目の元保護猫「ひな」との暮らし」の話をしてみました。
参考になれば幸いです。

では、また。

東京都出身。猫3匹と人間1人で暮らす新米ライター。猫ちゃんの魅力にぞっこんな日々を送っています。

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