【保護猫の里親インタビュー/東京】ペットロスを乗り越え、譲渡会での新たな出会い

「こんなに辛い想いをするなら、もう猫と暮らすのはやめよう」

ペットロスという辛い経験を乗り越え、保護猫の里親になった池口小夜利さん。「里親を待つ猫」の存在を知り、里親になろうと決意した経緯や譲渡会で見た光景、そこで感じたことなど、里親経験者ならではの想いと愛猫おかかちゃんへの愛情について語っていただきました。

「人生でもう一度、猫と一緒に幸せに暮らしたい」

もう一度、猫と一緒に幸せに暮らしたい

ーー池口さんがおかかちゃんの里親になった経緯を教えていただけますか?

子どもの頃から猫が大好きでした。15年前の台風の日にビルのすみっこで寒さに震えている子猫を保護したのをきっかけに、14年間人生のパートナーとして一緒に幸せに暮らすことができました。最期は腎臓を患って天国に旅立ってしまいました。「いつかは旅立ってしまう…」と頭ではわかっていても、いざお別れの日がやってくると、その悲しみは想像を遥かに超えて深いものでした。「こんなに辛い想いをするなら、もう猫と暮らすのはやめよう」と思っていたのですが、だんだんと「人生でもう一度、猫と一緒に幸せに暮らしたい!」という想いが高まり、インターネットで「里親募集」のサイトを見るようになりました。そこでおかかと出会ったのです。

ーー深い悲しみを乗り越えたのですね。里親になろうと思った理由はどのようなものでしたか?

毎年たくさんの猫が殺処分(この文字を見ただけで胸が苦しくなります…)されてしまうという現状を知った時、とてもショックだったのです。それと同時に、危機一髪で救われた命は「里親を待つ猫」としてたくさん存在していることも知りました。毎日このことを考えるようになり「旅立ってしまう時の辛さを考えるよりも、待っている猫を迎えに行きたい!」という気持ちの方が強くなり、本気で里親になることを決意しました。

ーー実際にどのように譲渡会を探したのですか?

インターネットで探しました。その中で千葉県にある「NPO法人犬と猫のためのライフボート」にすごく惹かれました。ホームページに書かれている「譲渡が困難な犬猫たちは終生飼育することで殺処分からの救命を実現しています」という文言に、とても感動を覚えたからです。

ーー譲渡会に行く前にやったこと、不安だったことはありましたか?

思い切って、もう少し猫が快適に過ごせるようなマンションに引っ越しました。そして、何かあった時にすぐに行けるように、近くの動物病院を事前に調べました。譲渡会の当日にそのまま引き取らせて頂く場合もあるので、ごはんやお水、トイレの準備も済ませ、キャットタワーも準備しておきました。あとは、いくら暴れても大丈夫なように(特に子猫は家中を猛ダッシュします)余計な物をぜんぶ片付けました。
不安だったことといえば、いくら猫と14年間暮らしたことがあるとはいえ、猫の性格は本当にさまざま「十猫十色」です。「今回ご縁がある子はすぐに仲良くなれるかな?」「トイレはちゃんと覚えてくれるかな?」「壁で爪とぎしないかな?」などなど、不安になり出したらキリがありません。だからこそ、何があっても受けとめる覚悟がないと猫と暮らすのは難しいと思いますね。

「きっと仲良くなれそう!絶対この子だ!」と感じて瞬間

「きっと仲良くなれそう!絶対この子だ!」と感じて瞬間

ーー譲渡会でのおかかちゃんとの出会いはどのようなものでしたか?

猫の名前は「おかか」と決めていたので、60匹の猫たちの前を歩きながら「おかか~、おかか~」と呼んでみました。すると、1匹の子猫が私の方に腕を伸ばしてニャーニャー鳴きはじめたのです。ケージから出して抱っこするとクタッとリラックスして、今度は喉をゴロゴロ鳴らしはじめたので、思わずスタッフの方に「この子に決めました!」と伝えました。こんなわかりやすくて、決定的な出会いになるとは思ってもみませんでした。

ーー譲渡会の光景やそこで感じたことを教えてください

私の他に3組の方が見学にいらしてました。外国人の方やご夫婦、お子様連れなど様々でした。みなさん幸せいっぱいの笑顔を見せながら、一緒に暮らす猫を決めていらっしゃった様子でした。スタッフの方々はみなさん優しくテキパキとしていて、「気になる子がいたらどんどん抱っこしてあげてくださいね。写真もオッケーですよ。生い立ちやこれまでの病歴などもすべてお伝えしますので、なんでも聞いて下さい」と仰っていました。ゲージも自分たちで自由に開け閉めさせてもらえるので、とってもオープンな雰囲気でした。こうして命がつながった猫たちが、新しい家族として迎えられていく姿を見ると嬉しくて涙が出そうになりました。

ーー譲渡会でおかかちゃんを選んだ理由を教えていただけますか?

抱っこしたとたんにリラックスして喉を鳴らしてくれた瞬間、あまりの感動にとろけそうでした。性格もおっとりして優しそうな感じがしたので「きっと仲良くなれそう!絶対この子だ!」と思いました。

ーーおかかちゃんはどんな過去のお持ちでしたか?

千葉県茂原市の保健所からライフボートにやってきたそうです。右肩のあたりが少し脱毛していたので伺ったところ、「1ヶ月前にヒドイ風邪を引いてしまい、注射を何回か打っているのでその影響なんです」と教えて頂きました。

ーーおかかちゃんを決めたときに思ったこと、感じたことを教えてください

前の猫が旅立ってから色々考えて、思い切って里親になる決意をして本当に良かったと思いました。そして、おかかとの出会いをつないでくれたライフボートの方々に感謝の気持ちでいっぱいでした。おかかには「何があっても絶対に幸せにするからね!」と何度話しかけたことかわかりません。おかかを迎えに行った時点でまだ里親が見つかっていない子たちにも「早く素敵な家族に出会えますように!」と強く願って施設をあとにしました。

「私のところに来てくれてありがとうね」と思える喜び

「私のところに来てくれてありがとうね」と思える喜び

ーーその後の流れはどのようなものでしたか?

「NPO法人 犬と猫のためのライフボート」は、譲渡が決まった時点で飼育・ワクチン接種・不妊手術などの費用の一部として一律30,000円を納めます。これ以上可哀想な猫を増やさない為にも不妊手術は必須なので、もし譲渡が決まった日に手術が済んでいない場合は、手術後に改めて迎えに行く流れとなります。

「NPO法人犬と猫のためのライフボート」は、時間毎に見学可能な人数が限られているので、事前にメールか電話で予約をします。予約をすると住所と行き方を教えてもらえます。
家庭訪問というシステムはありません。ただし、賃貸住宅に住んでいる場合は賃貸契約書の「ペット可」と明記されている箇所のコピーが必須です。家庭環境や現在のライフスタイル(どれくらい家を留守にする生活なのか)を面談の時に質問されます。私が面談を受けている時に、黒猫ちゃんを引き取りに来たご家族がいらっしゃいました。その時スタッフの方が「この黒猫ちゃんとおかかちゃんは兄妹なんですよ。おかかちゃんが風邪をこじらせている間に黒猫ちゃんが先に面会デビューしたんです」と教えてくれたので、私とそのご家族が親戚になったかのような親近感を覚えました(笑)

ーーおかかちゃんを我が家に迎えてから現在まではどのように過ごしてきましたか?

我が家に迎えたその日から、まるで昨日まで一緒にいたかのようにくつろいでいて、その日から一緒にベッドで眠るようになりました。右肩の脱毛については、事前に調べておいた動物病院で診て頂き、無事に完治しました。ライフボートで子猫同士が遊んでいるうちに「甘噛み」を覚えたのか、前の猫の時のような「本気噛み」がなく、それもすごくホッとしています(笑)。毎日おかかにほっぺをスリスリしながら「私のところに来てくれてありがとうね」と伝え、とっても幸せな日々を過ごさせてもらっています。

先輩里親さんからのアドバイス

先輩里親さんからのアドバイス

ーーこれから池口さんのように里親になるひとに向けてアドバイスをお願いします

まずは、猫が快適に暮らせる環境を整えて頂くことが必須です。ご自宅の構造によっては「脱走防止対策」が必要ですし、観葉植物は猫にとって有害なもの(ポインセチア、ポトスなど)もあるので事前に確認しておく必要があります。猫はとってもキレイ好きなので、トイレをこまめに掃除してあげてください。トイレが汚れていると、トイレ以外のところで用を足してしまうこともあります。

それから、猫は犬と違い、飼い主に服従しない生き物です(猫好きな方は、このツンデレ加減がたまらないのかもしれません)猫は「どうやったら飼い主さんに喜んでもらえるか?」ではなく、「何をすれば自分(猫)に良いこと(または悪いこと)が起こるか?」を考えて行動しています。この性質を十分にふまえた上で猫に接すると、お互いがハッピーになれると思います。

猫の健康管理について、私がこれまで何軒か行った動物病院で共通して言われたことは、「猫は具合が悪いことを隠す動物なんです」というものです。そのため、飼い主さんから見て具合が悪いとわかったころには、病気がかなり進行していることがあるのです。病気を見逃さないためにも、健康診断を定期的に行うことをおすすめします。猫は、15年~20年以上生きる動物です。毎日お世話をする手間もかかれば、動物病院に行ってお金がかかることもあります。10年も経てば、人間が猫の介護をする可能性も出てきます。

以上のようなリスクや手間を引き受ける覚悟ができましたら、猫からも「太鼓判」をもらえると思います。

飼い主:池口小夜利
東京都在住|猫飼育歴:15年
猫のいる暮らしが幸せすぎて、在宅で仕事ができるフリーランスを目指して活動中。知らぬ間に猫が私の人生を「良い方へ良い方へ」と導いてくれていることを実感しながら、日々を過ごしている。

愛猫:おかか
猫種:白地にキジ柄
年齢:9ヶ月
好きなもの:ロニーのキャットフード、キャットタワー、ネズミのおもちゃ
特徴:可愛い顔とは裏腹にダミ声、超絶甘えん坊、幸運を呼ぶ鍵しっぽ

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