【期待】2020年6月の動物愛護法改正でなにが変わるのか?

【期待】2020年6月の動物愛護法改正でなにが変わるのか?

2019年6月に動物愛護法が改正され、2020年6月から段階的に施行されます。

今回の改正の注目ポイントは2つ。「動物虐待の厳罰化」「生体販売の規制強化」です。

保護猫を取り巻く環境にも大きく影響します。具体的に何がどう変わるのか、改正動物愛護法のポイントについて詳しく解説します。

動物愛護法とは?

動物愛護法とは?

動物愛護法は正式には「動物の愛護及び管理に関する法律」といいます。

動物と人が共生する社会の実現のため、動物の「愛護」「管理」を柱とした法律です。動物をただかわいがるのではなく、虐待を防ぎ、命を大切にする社会を築くことを目的としています。

動物愛護法はペットショップなどの動物を扱う業者だけでなく、ペットの飼い主も対象になります。

例えば、猫や犬などのペットの飼い主は、終生飼養を原則とし、適正飼育みだりな繁殖の防止迷子の防止所有者の明示など、動物の適正な扱いに努めなければならないと定められています。

動物を虐待したり、遺棄したりすると犯罪行為として罰せられます。お世話をしない、病気を放置するのも虐待です。

参考サイト:環境省ホームページ「動物愛護管理法の概要」

改正のポイント1・動物虐待の厳罰化

改正のポイント1・動物虐待の厳罰化

これまで動物を虐待した罪への罰則は「懲役2年以下、罰金200万円以下」でした。2019年の動物愛護法改正では「懲役5年以下、罰金500万円以下」に引き上げられ、2020年6月に施行されます。

動物を虐待する動画をインターネットで公開するなど、残虐な動物虐待事件が相次いで起こったことが、動物虐待の厳罰化の背景にあります。

動物はモノではありません。だからもっと重い罪でもいいと思います。本当に。

罪名改正後の罰則改正前の罰則
動物殺傷罪5年以下の懲役または500万円以下の罰金2年以下の懲役または200万円以下の罰金
動物虐待罪
動物遺棄罪
1年以下の懲役または100万円以下の罰金100万円以下の罰金

動物虐待事件が過去最多に

過去 10 年間における動物虐待事犯の検挙事件数の推移
出典:警察庁生活安全局生活経済対策管理官「令和元年における生活経済事犯の検挙状況等について」より

動物虐待警察庁によると、2019年の動物虐待摘発は105件で過去最多となりました。遺棄や殺傷だけでなく、ネグレクト、水や餌を与えない、不衛生な環境で飼育するのも「虐待」です。

また、摘発された105件の動物虐待のうち、猫が最多で66件、犬は27件でした。犬に比べて、野良猫や地域猫などの外で暮らす猫が多いため、猫への虐待が多くなっていると考えられます。

改正のポイント2・生体販売の規制強化

改正のポイント2・生体販売の規制強化

2021年6月までに、生体販売の規制が強化されます。「生後56日以下の子犬・子猫の販売禁止」「生体販売の環境を良くする数値規制」によって、悪質な生体販売業者への規制を強化しようというものです。

ペットショップでは小さな子猫が人気です。しかし、あまりにも早く親や兄弟と離してしまうと、免疫力や社会性を身につけることができません。そのため、現行の「生後49日」から「生後56日」に引き上げられたのです。

また、これまでは飼育施設に関して、具体的な数値で規制されていませんでした。しかし、改正動物愛護法では動物1頭あたりの必要面積や繁殖回数、従業員1人あたりの上限飼育数を明確にすることで、悪質な生体販売業者を排除しようという動きがあります。

流通過程で死亡する猫が多い

朝日新聞の記事によると、流通過程で毎年2万匹以上の犬と猫が死亡しています。

繁殖から小売りまでの流通過程で死亡した数は犬で1万8792匹、猫で5679匹に上った。これは流通量全体の約3%にあたり、14年度から改善が見られない。犬では同じ17年度の全国の自治体による殺処分数(8711匹、負傷動物を含む)を大きく上回った。
(引用:朝日新聞デジタル

生体販売の数値規制感染症が原因となっていることが多く、不衛生な環境で繁殖・飼育されていることが想像できます。

「生後56日以下の子犬・子猫の販売禁止」「生体販売の環境を良くする数値規制」によって生体販売の規制が強化されたことで、悪質な生体販売業者と命を落とす子猫・子犬がなくなることを切に願っています。

元ペットショップ店員の私の想い

元ペットショップ店員の私の想い

私は動物が大好きで、縁あって長年ペットショップで働いてきました。子猫や子犬が新しい家族のもとに旅立つことが、とてもうれしかったです。

その一方で、野良猫問題飼育放棄を目の当たりにしました。だからこそ言えます。生体販売は反対です。

世の中にはまだまだ悪質な生体販売業者がいます。法律で規制して排除することはもちろん、ペットショップで子猫を買うのではなく、保護猫を家族にしてほしいというのが私の率直な気持ちです。

野良猫問題を解決して虐待事件をなくしたい

野良猫への虐待事件が報じられるたびに心が痛みます。

痛ましい事件をなくすには、罰則を強化することと、野良猫問題の解決が必要です。長期的な地域猫活動に加え、保護猫の里親になる人を増やさなくてはなりません。

里親になることで救われる命

保健所や動物愛護センター、シェルターから保護猫が引き取られれば、新たに野良猫を受け入れられます。あなたが保護猫の里親になれば、2匹分の命が救われるのです。

猫ちゃんを家族に迎えたいと思ったとき、ペットショップで買うのではなく、「保護猫」を選ぶのが当たり前の社会になってほしいと思っています。

まとめ

今回の動物愛護法の改正で、猫ちゃんをはじめ動物を取り巻く環境が大きく改善されました。

悪質な生体販売業者動物虐待をなくすこと、さらには「保護猫」「殺処分」について関心を持つ人が増えるきっかけになればうれしいです。

というわけで、今回は「【期待】2020年6月の動物愛護法改正でなにが変わるのか?」の話をしてみました。
参考になれば幸いです。

では、また。

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株式会社ぽぽねこ代表取締役。長年、ペット業界に従事。動物愛護団体への寄付を通じて、 猫の殺処分ゼロ活動を支援している。

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