愛猫を飼えなくなった飼い主がするべきこと【飼育放棄はダメ、里親を探す】

愛猫を飼えなくなった飼い主がするべきこと【飼育放棄はダメ、里親を探す】

猫の殺処分を減らすために「保健所・動物愛護センターへ収容される猫を減らす」「里親になる人を増やす」取り組みについてお話ししてきました。それに加えて、もうひとつ知ってもらいたいことがあります。それは、飼い主の事情で飼えなくなってしまった猫ちゃんについてです。

やむを得ない事情で猫ちゃんを手放さなければならない。そんなときは、とにもかくにも里親を探すことに全力を注ぐべきです。それが飼い主としての責任だと思っています。今回は、猫ちゃんの里親探しについてお話ししたいと思います。

猫ちゃんを手放さなければならない理由って何?

猫ちゃんと暮らしている方のなかには、やむを得ない事情で愛猫を手放すという決断をしならない方もいらっしゃいます。猫ちゃんを飼えなくなってしまう理由とはいったい何なのでしょうか。

家庭環境の変化

転勤が決まったけど引っ越し先がペット不可だった、家族が動物アレルギーになってしまった、赤ちゃんが生まれるからなどと人間の都合で猫ちゃんを手放したいと考えるケースが多いようです。

飼い主の入院・死去

飼い主の病気・死去によって住むお家をなくしてしまう猫ちゃんもいます。特に飼い主が高齢者の場合、健康上の理由からお世話ができなくなってしまうケースが多いです。病院への入院や老人ホームへの入居のため、やむを得ず手放さなければならなくなってしまったということも考えられます。

猫ちゃんの病気・ケガ

猫ちゃんの病気やケガ、加齢によって付きっきりの介護が必要になってしまい、飼い主の日常生活がままならなくなってしまうことから猫ちゃんを手放すケースもあります。

子猫が増えすぎた

猫ちゃんに不妊去勢手術を行っておらず、どんどん繁殖してしまって面倒を見切れなくなったというケースもあります。これを「多頭飼育崩壊」といい、人間が適切な管理を怠った結果、異臭と病気がまん延する劣悪な環境になり、飼い主から保護団体へレスキューの要請が入ることもあるようです。

どうしても猫ちゃんを飼えなくなってしまったら?

どうしても猫ちゃんを飼えなくなってしまったら?

どうしても愛猫を手放さなければならない事情があったとしても、最後まで飼い主の責任を果たしてほしいと思います。安易に保健所や動物愛護センターへ持ち込む、ましてや捨てる、飼育放棄することはぜったいにあってはなりません。

保健所・動物愛護センターへ持ち込まないでほしい

環境省のホームページによると、平成30年度の猫の引き取り数は約9万匹。そのうち約1万匹が飼い主からとなっています。正直、飼い主から引き取りの依頼があることに驚いてしまいました。

参考:環境省ホームページ「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」

保健所・愛護センターは飼い主のいない猫ちゃんが最後に行き着くところです。譲渡ができそうな場合は里親を待つことになりますが、収容数や予算には限りがあり、やむなく殺処分になってしまうのが実情です。

新しい里親を探すように指導している

保健所・動物愛護センターのスタッフさんは、殺処分されてしまう猫ちゃんをできる限り救いたいとの想いを持って、日々対応されています。猫の引き取りを希望する飼い主に対しては、新しい里親を探す努力をするよう指導しているところがほとんどです。

動物愛護法で明示された「終生飼養」の責任

平成25年に動物愛護管理法が改正され、動物の飼い主は、その動物が命を終えるまで適切に飼養する「終生飼養」の責任があることが明示されました。

環境省のガイドラインには、このようにあります。

都道府県等は、終生飼養に反する理由による引取り(動物取扱業者からの引取り、繰り返しての引取り、老齢や病気を理由とした引取り等)を拒否できる

つまり、飼い主の責任が果たされていないと判断される場合は、引き取りを拒否することができるのです。これを受けて、岡山市をはじめ、各自治体のホームページでは、具体例を挙げて終生飼養に反する理由でのペットの引き取りを拒否すると明示しています。

  • ペットが年老いた・病気になった
  • ペットに子供が生まれた
  • ペットが言うことをきかない・ほえて困る
  • ペットに飽きた
  • 引越しや入院でペットを手放したい
  • 飼育に関わる金銭的理由

上記のような理由では、一切 岡山市保健所でペットを引き取るということはいたしません。

引用:岡山市ホームページ

猫ちゃんを捨てちゃダメ、絶対!

あたたかな家庭で暮らしてきた猫ちゃんは、外の世界で生きていくことはできません。突然のサバイバルに放り出され、寒さと飢え、孤独を味わい、保健所や動物愛護センターに収容されれば殺処分という悲しい運命が待ちうけています。ぜったいに捨てないで。

やむを得ない事情で愛猫が飼えなくなったときの里親の探し方

やむを得ない事情で愛猫が飼えなくなったときの里親の探し方

知り合いや身内で里親になってくれる人がいればベストです。しかし、住宅事情や家庭環境から難しい場合も多いでしょう。相性のいい里親さんに出会える確率を上げるためにも、広く里親を探してほしいと思います。

里親募集サイトを利用する

ペットのおうちいつでも里親募集中などの里親募集サイトも積極的に利用しましょう。

猫ちゃんの写真、健康状態、年齢、性格、ワクチン接種歴をなどを掲載すると、飼いたいと思った方が応募できる仕組みです。個人間のやりとりになるのでトラブルには注意が必要です。応募者と直接会って人柄を確かめるほか、終生飼養を約束する契約書を結ぶ場合も多いようです。

SNSを利用する

広く里親募集情報を拡散するため、ぜひSNSも活用しましょう。

保護団体に相談する

地元の保護団体を探し、猫ちゃんを受け入れてもらえるかどうか相談してみましょう。しかし、すでに多くの猫ちゃんを保護しており、新規の受け入れは難しい場合もあります。

アナログな方法もおすすめ

動物病院やペット用品店などにチラシを貼らせてもらえば、すでに猫ちゃんを飼っている方の目にとまりやすくなります。

まとめ

どうしても猫ちゃんを飼えなくなってしまった場合、新しい里親を探してください。猫ちゃんの幸せのために力を尽くしてください。保健所や動物愛護センターへ行くのは最後の最後の手段にしてください。

本当に猫ちゃんを大切に思っているのなら、力を貸してくれる人がいるはずです。

というわけで、今回は「愛猫を飼えなくなった飼い主がするべきこと【飼育放棄はダメ、里親を探す】」について話をしてみました。
参考になれば幸いです。

では、また。

株式会社ぽぽねこ代表取締役。長年、ペット業界に従事。動物愛護団体への寄付を通じて、 猫の殺処分ゼロ活動を支援している。

プロフィール

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