衝撃!殺処分される猫の2割は飼い主の飼育放棄という事実【避妊・去勢手術は殺処分を防ぐ】

衝撃!殺処分される猫の2割は飼い主の飼育放棄という事実【避妊・去勢手術は殺処分を防ぐ】

ある日、とても衝撃を受けるCMを目にしました。

「1年間に保護された約10万匹のイヌやネコのうち、約15%は飼い主からでした」(ACジャパン・NHK共同キャンペーン「2019生きもの命」より)

どんな事情があるのかはわかりませんが、飼っている犬や猫を飼育放棄する人がいるのです。最悪の場合は殺処分されてしまうので、どれだけ無責任で悲しいことなのかがおわかりいただけるかと思います。

しかも猫の場合、半数が子猫の引き取り依頼なんだそうです。子猫が増えても飼えないのなら、飼い主の責任として避妊去勢手術を受けさせなければなりません。今回は殺処分を防ぐ方法として、避妊去勢手術の大切さについて考えてみます。

飼い主の飼育放棄によって殺処分される命

飼い主の飼育放棄によって殺処分される命

一般社団法人ペットフード協会の調査によると、日本の猫の飼育数は約965万匹(2018年)となっています。また、環境省が発表した「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(2018年度)」によると、飼い主からの猫の引き取り依頼は10,450匹でした。

多くの猫ちゃんが大切に飼われているのですが、1万匹の猫ちゃんは飼い主の飼育放棄によって、保健所や動物愛護センターに持ち込まれているのです。

【猫の引き取りと処分の状況】

【猫の引き取りと処分の状況】「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況(2018年度)」より作成

保護された猫の2割は飼い主の飼育放棄

環境省の統計によると、2018年度の猫の引き取り数は56,404匹ですが、そのうちの10,450匹は飼い主からの引き取り依頼でした。約2割の猫が飼育放棄されているのです。

3分の1は子猫

飼い主から引き取り依頼のあった10,450匹のうち、3,490匹が子猫です。猫は1年に2回以上出産することもあり、適切に避妊去勢手術を行っていなければ、どんどん増えてしまいます。そのため子猫の引き取りを依頼する飼い主がいるようです。

半数以上が殺処分されてしまう

2018年度の猫の引き取り数は56,404匹。残念ながら30,757匹の猫が殺処分されてしまいました。そのうち20,234匹が子猫です。

子猫といっても、まだ離乳していない月齢なので哺乳などのお世話が必要になります。保健所や動物愛護センターで管理することは困難なため、子猫の殺処分数の割合が多くなっています。

猫の避妊・去勢手術が殺処分を防ぐ

猫の避妊・去勢手術が殺処分を防ぐ

なぜ、1万匹の猫は飼育放棄されてしまったのでしょうか? やむを得ない理由もあると思いますが、子猫の引き取りを希望する飼い主が多いことから、予期せずに繁殖させてしまったことが要因のひとつと考えられます。

不幸な子猫を増やさないための避妊・去勢手術

飼い主の飼育放棄によって殺処分される猫を減らすには、まずは望まない繁殖を防ぐことが大切です。そのためには、避妊去勢手術が不可欠になります。

望まない繁殖を防ぐ

オスとメスを一緒に飼うときは、本当に繁殖をコントロールできるのかどうかをよく考えましょう。完全室内飼いしている、異性の猫といっしょに飼わないという場合でも安心できません。万が一、脱走してしまったときに妊娠させる、妊娠するリスクがあります。

多頭飼育崩壊を防ぐ

避妊去勢手術を行わずに猫の多頭飼いをすると、繁殖が繰り返されて「多頭飼育崩壊」に陥ることがあります。あっという間に飼いきれない数になり、結果的に不幸な子猫を増やしてしまうことになります。

猫と幸せに暮らすための避妊・去勢手術

猫と幸せに暮らすための避妊・去勢手術

猫の避妊去勢手術には反対意見もあります。たしかに「小さな体にメスを入れるのはかわいそう」「完全室内飼いだから大丈夫」「妊娠出産は自然にまかせたい」という想いも納得できます。

飼い主の責任として、避妊去勢手術のメリットとデメリットを知ったうえで、猫ちゃんにとってどうするのが良いか考えておくようにしましょう。

猫の避妊・去勢手術のメリット

避妊去勢手術をすることで、猫ちゃんが長生きできる可能性が高まります。「繁殖を抑えて不幸な猫を増やさない」以外のメリットがあることを覚えておきましょう。

●猫ちゃんのストレス軽減
避妊去勢手術をすることで、発情期をなくすことができます。情緒不安定や欲求不満でいることがなくなるので、精神的なストレスを軽減できます。また、大声で鳴く、スプレーなどの問題行動を減らすことができます。

●猫ちゃんの病気リスク軽減
乳腺や生殖器の病気にかかりにくくなります。オスの場合は精巣腫瘍、メスの場合は卵巣ガン、子宮内膜炎、子宮蓄膿症、乳がん、妊娠や出産に伴う疾患のリスクを減らすことができます。

猫の避妊・去勢手術のデメリット

手術や全身麻酔によるリスクもあります。避妊去勢手術によって得られるメリットはとても大きいのですが、デメリットについても知っておきましょう。

●肥満になりやすくなる
避妊・去勢手術をすることでホルモンバランスが崩れ、体重が増加しやすくなります。

●費用がかかる
猫の避妊去勢手術にはオスは1~2万円、メスは3~4万円の費用がかかります。

猫の適正飼育を促進するための助成金もある

猫の適正飼育を促進するための助成金もある

猫の避妊去勢手術を行うと助成金がもらえる自治体もあります。望まない繁殖によって飼育放棄される猫をなくすために行われている取り組みです。自治体によっては飼い猫への助成金がない場合もあるため、自治体のホームページを確認してみましょう。

●兵庫県神戸市
神戸市では飼い猫に避妊去勢手術を受けさせるとともに、放し飼いにしないことで不幸な子猫を増やさない取り組みを行っています。神戸市内で飼育されている生後6カ月以上のメスの猫の避妊手術料金のうち1割(上限2,500円)が助成されます。
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●大阪府堺市
堺市内で飼育されている猫の避妊手術料金のうち3,000円が助成されます。「飼育者が堺市内在住または在勤であること」「猫を適正に管理し、室内飼育に努めること」「猫を営業目的に飼育していないこと」のすべてを満たす場合にのみ助成金が交付されます。
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●栃木県宇都宮市
猫の適正飼育を促すとともに、望まない繁殖によって不当に捨てられる猫をなくすための取り組みとして、猫の避妊手術料金のうち4,000円が助成されます。
詳しくはこちら

まとめ

猫の殺処分を防ぐには、まずは「望まない繁殖をしない」ことが大切です。

猫の避妊去勢手術については反対意見も多いと思いますが、健康上のメリットも大きいので、猫ちゃんと長く幸せに暮らすなら必要なことだと思っています。

というわけで、今回は「衝撃!殺処分される猫の2割は飼い主の飼育放棄という事実【避妊・去勢手術は殺処分を防ぐ】」の話をしてみました。
参考になれば幸いです。

では、また。

株式会社ぽぽねこ代表取締役。長年、ペット業界に従事。動物愛護団体への寄付を通じて、 猫の殺処分ゼロ活動を支援している。

プロフィール

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