猫共生型賃貸住宅が増えている理由とは?【猫飼育可物件は少ない】
「賃貸でも猫を飼いたい」そんなニーズに応え、いま猫共生型賃貸住宅が増えていることをご存知でしょうか? 猫共生型賃貸住宅とは、ただのペット可の賃貸物件ではありません。猫ちゃんの習性に合わせて設計・デザインされた、猫ちゃんと暮らしたい人専用の賃貸物件のことをいいます。今回は猫共生型賃貸住宅について、詳しく見ていきたいと思います。
猫を飼いたくても飼えない理由は「住宅事情」
一般社団法人ペットフード協会の調査によると、猫を飼いたいけど飼えない理由でいちばん多かったのは「集合住宅に住んでいて禁止されているから」で全体の32.7%を占めています。
たしかにアパートや賃貸・分譲マンション、公団住宅などの集合住宅でペット可の物件はとても少ないように思います。ペット可の物件でも「猫はダメ」というケースも非常に多いです。
それでも集合住宅に住む3人に1人は猫を飼いたいのに飼えないのです。このニーズの高さは無視できないデータですね。
ペットOK物件でも猫NGな理由は?
SUUMOやアットホームなどの不動産サイトを見ていると、「ペット可物件」でも猫の飼育を禁止している物件があることに気づきます。わんちゃんはOKで猫ちゃんがNGなのはなぜなのでしょうか?
猫を飼うと部屋がボロボロになるから
猫ちゃんは爪のお手入れやマーキングのために爪とぎをします。これは猫ちゃんの習性なので、やめさせることはできません。壁紙やドア、障子、畳、フローリングなどをボロボロにしてしまうため、猫NGとしている物件オーナーが多いようです。解約時の敷金トラブルに発展してしまうこともあります。
猫を飼うとご近所トラブルになるから
猫ちゃんの糞尿臭や発情期の鳴き声などが原因で、住人同士のトラブルが起こりがちです。ペット可物件でも、住人が全員ペット好きとは限りません。
そもそも猫ちゃんと暮らすことを想定していない
少し前まで、猫ちゃんを外で放し飼いにしている人が多い時代でした。完全室内飼いという概念が定着したのも最近なので、猫ちゃんが快適に暮らせる賃貸物件は少ないのです。
猫にとって理想の住環境とは?
保護猫の里親になりたいと思っても、保護団体に住環境が猫向きではないと判断されれば譲渡を受けられないこともあるんです。ここで、猫ちゃんにとって暮らしやすい住環境について考えてみます。
猫の習性を知る
ペット可の賃貸物件でも、猫と暮らすことは想定されていません。猫ちゃんと一緒に暮らすなら、人も猫ちゃんも快適に暮らせたほうがいいですよね。猫ちゃんの習性を知ると、どんなお部屋が快適なのかわかってきます。
猫ちゃんは縦方向の運動が大好き
走り回れるスペースよりも、上下運動できるほうがうれしいのです。だから、キャットタワーやキャットウォークを設置したり、自由に登れる棚やタンスを置くなど、高いところに登れるような工夫が必要です。
猫ちゃんはキレイ好き
トイレはいつも清潔にし、猫の頭数分のトイレを用意します。また、ごはんはトイレとは離れた場所で与えるようにします。
リラックスできる場所を用意する
猫ちゃんのお気に入りの場所にベッドやかご、毛布などを置いてリラックスできるようにしてあげましょう。多頭飼いの場合は1匹だけで静かにくつろげる場所も用意してあげるといいですね。
爪とぎは必須
いろんな材質や形状のものがあるので、好みのものを見つけてあげましょう。気に入るものがあれば家具や壁で爪とぎすることはなくなります。
温度管理も忘れずに
寒い日は毛布などがあれば凌ぐことはできますが、夏の暑さは猫ちゃんにとっても過酷です。夏場はエアコンを利用し、留守中でもつけっぱなしにしておきましょう。
いちばん心配なのは「脱走」
猫ちゃんは好奇心が旺盛で、外の刺激を好む子が多いです。先日、ぽぽねこで『猫ちゃんの住環境に関するアンケート』を実施したところ、やはり「脱走」について心配されている方が多いようでした。
1位 | 玄関や窓から脱走しないか心配 | 53.0% |
2位 | 猫ちゃんが壁や家具を傷つけてしまう | 26.9% |
3位 | 家電製品や電気コードをかじってしまう | 19.1% |
4位 | 猫飼育可の賃貸物件が少ない | 16.0% |
5位 | 猫ちゃん立入禁止の部屋を仕切りたい | 12.7% |
6位 | 猫ちゃんが床を傷つけてしまう | 9.6% |
■調査概要
調査名:猫ちゃんの住環境に関するアンケート
対象者:ぽぽねこ公式オンラインショップ会員
回答数:387
調査方法:インターネット調査
調査機関:株式会社ぽぽねこ
主な逃走経路は「玄関」と「窓」です。賃貸住宅でもすぐにできる対策があるので、万が一のことがないように知っておきましょう。
玄関に内ドアをつける・窓にフェンスをつける
ちょっとした隙をついて、外に出てしまう猫ちゃんもいます。玄関ドアを二重にする内ドアはホームセンターなどで購入できますし、100円ショップなどでフェンスを購入してDIYすることもできます。
室内のドアを開けられないようにする
ホームセンターやインターネットショッピングで、猫用ドアロックを購入することができます。また、ドアレバーを縦にする(写真のようなタイプなら、プラスドライバーがあればかんたんに向きを変えられます)だけで、猫ちゃんが自分でドアを開けられなくなります。
猫共生型賃貸物件が増えている
このように賃貸住宅でも、工夫次第で猫ちゃんが快適に暮らすことができます。そんな工夫と猫愛をすべて取り込み、猫ちゃんも飼い主さんが快適に暮らすための住まいを「猫共生型賃貸物件」といいます。
猫共生型賃貸物件の特徴は、キャットウォークなどの猫ちゃんが快適に暮らせる設備だけでなく、人も快適に暮らせる賃貸物件ということです。また、不妊去勢手術義務化などのルール整備、困ったときの相談窓口などを設けることで、トラブルを未然に防いでいます。
猫共生型賃貸物件の実例
猫共生型賃貸物件の実例をご紹介します。ペット可物件というと賃料が高いイメージでしたが、お手頃な物件も多いです。物件情報を眺めているだけでワクワクしてきますよ!
●クラシヲ「猫専用共生型賃貸住宅“necoto”」
猫専用共生賃貸住宅へリノベーション。キャットウォークだけでなく、爪とぎ対応壁、トイレ置き場、脱走防止対策まで配慮した、人と猫が暮らしやすい住まいを提案しています。
公式ホームページ:http://necoto-kurashiwo.com/
●旭化成「ペット共生型賃貸住宅プラスわんプラスにゃん」
ペットも飼い主も最大限の満足を満足を感じられる賃貸物件。ペット用の設備はもちろん、しつけ・健康無料相談などの共生に関するサポートが受けられます。
公式ホームページ:https://www.afr-web.co.jp/hebel-rooms/feature/petkyousei.html/
●Gatos Apartment
数多くの猫専用賃貸住宅のコンサルティングを手がけ、現在もいくつものプロジェクトが進行中。猫と一緒に暮らすための工夫が満載のデザイナーズ賃貸は若い世代に人気。
公式ホームページ:http://gatos-apartment.com/
猫専門物件探しサイト
●ネコリパ不動産
保護猫カフェを運営するネコリパブリックによる猫専門不動産仲介サイト。仲介手数料の一部が保護猫カフェの運営費に充てられる仕組み。
公式ホームページ:https://necotofudousan.com/
●しっぽ不動産
NPO法人東京キャットガーディアンによるペットウェルカム物件、猫付きシェアハウスのポータルサイト。
公式ホームページ:http://www.shippo-fudosan.com/
まとめ
ここまで、猫ちゃんと猫ちゃんを飼いたい人を取り巻く住宅環境についてお話ししてきました。
「保護猫の里親になりたいけど賃貸だから無理」そんな声を聞くたびに、猫を飼える賃貸住宅が増えればいいのにとずっと思ってきました。だから、不動産会社やが猫共生型賃貸住宅を実現し、それに賛同する不動産オーナーが増えつつあるのはとてもうれしいことです。
猫共生型賃貸住宅が増えれば、保護猫と一緒に暮らしたい人も増えるはず。そんな想いをこめて、この記事を書いてみました。
というわけで、今回は「猫共生型賃貸住宅が増えている理由とは?【猫飼育可物件は少ない】」についての話をしてみました。
参考になれば幸いです。
では、また。
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