保護猫にとって我が家に来ることが幸せなのか、与える愛は自己満足なってはいけない【猫の里親体験談/埼玉】

保護猫にとって我が家に来ることが幸せなのか、与える愛は自己満足なってはいけない【猫の里親体験談/埼玉】

福島から埼玉へ移り住み、お子さんのひとことをきっかけに譲渡会に訪れた都澤さん。そこで見た光景や保護猫との出会い。どんな過去があったのか、本当に幸せにしてあげられるのか、そんな里親経験者ならではのエピソードを語っていただきました。

猫を本当に幸せにできるのか自問自答する日々

猫を本当に幸せにできるのか自問自答する日々

ーーあおちゃんの里親になった経緯を教えてください

息子の「猫を飼いたい!」という一言がきっかけで里親になりました。

息子が4歳のときに福島県から埼玉県に引っ越しをしたのですが、それまでは私の実家で6匹の猫に囲まれながら暮らしていました。引っ越しをしてきて最初に感じた違和感が、生活の中に猫がいないということ。今まで当然のように可愛い猫と一緒に暮らしていたのに、猫の姿が見えないだけでこんなにも寂しいと思うのだなと、猫の偉大さを実感していました。

それから数か月は猫を飼いたいと思いつつ、「今飼ったとして、本当に幸せにできるのか?」と考えてしまい、ペット可のマンションに住んだのに何もせず過ごしていました。

ある日、息子が猫を飼いたいと私に話してくれて、私も猫と暮らしたいと毎日もんもんとしていたことや、猫と過ごすことで息子が優しい気持ちを持ってくれればいいなと思うこともあり、家族満場一致で猫を飼おっか!という結論になりました。

ーー里親になろうと思った理由はどのようなものでしたか?

飼いたい猫を探すには、ペットショップや保健所、譲渡会、里親募集サイトなどいくつかあると思いますが、私は保健所か譲渡会にしようと初めから決めていました。

実は私の実家にいる6匹の猫達は皆、元野良猫や保健所から来た子ばかりです。1匹1匹の個性が光り、それぞれ特徴的な可愛い模様、性格もさまざまで皆魅力的な子たちばかり。もちろん、ペットショップにいる子も可愛いのですが、個人的には個性豊かなミックス(雑種)が1番可愛いと思っています。

また、私は元々猫が大好きでできるだけ多くのの猫が幸せになってほしいと思っています。保護猫カフェで店員さんとお話しをするうちに、殺処分される犬や猫がまだまだいるという現実も知って、これから自分が猫を飼うようになったら絶対に保健所か譲渡会にいる子にしようと考えたのが里親になろうと思った理由です。

ーー猫ちゃんをどのように探しましたか?

譲渡会へ行く前に、どこで猫を譲ってくれるのかをインターネットで調べました。家族皆が揃うのが日曜日なので、日曜日にやっているところで、比較的近所がいいと思い探してみると、草加駅や新越谷駅で譲渡会を開催しているとのこと。

いくつかのボランティア団体を調べていくうちに、サイトをしっかり作っていて、ブログ更新も毎日のように行っている「越谷わんにゃんボランティア」さんが良いと思いはじめて、譲渡会を開催しているのかのチェックしました。ちょうどその日に新越谷駅で譲渡会も行っているとのことだったので早速譲渡会へ行ったんです。

まずはどんな雰囲気か見てみようと思ったのですが、そこで可愛い猫を発見したんです!見てみるだけのつもりが、その日にお迎えしたいと譲渡の申請をさせてもらいました(笑)

ーー猫ちゃんに会いに行く前にやったこと、不安だったことはありましたか?

会いに行く前にやったことは、いつ家へ猫が来ても良いようにする環境作りですね。猫用トイレや、ご飯とおやつ、おもちゃ、猫用ベッドなど猫と生活をするのに必要なものを先に購入しておきました。

不安だったことは、小さな子どもと猫が一緒に仲良く生活できるのかということです。当時4歳だった息子は猫が大好きですが、正直猫に嫌われるタイプだろうなと思っていました。ぴったりとくっついたり、頬ずりをしたり、抱っこをしたりと猫が嫌がることが好きだったので、その点だけ心配をしていました。ですが、「これから家に来る猫は息子の弟だよ、優しくしなきゃダメだよ」と最初にしっかりと言い聞かせたら、猫のことを気遣い、今までよりもしっかりとお兄ちゃんらしくなった息子がいます。

猫の生涯を幸せにしてあげたい

猫の生涯を幸せにしてあげたい

ーーあおちゃんとの出会いはどのようなものでしたか?

新越谷駅のロータリーで行っている、越谷わんにゃんボランティアの譲渡会で出会いました。はじめは下見として譲渡会の雰囲気を見に行くつもりだったので、その日に譲渡の申請をするつもりは全くありませんでした。しかし、譲渡会用の小さなケージの中で丸まっているあおを見つけて、可愛い!うちにこの子を迎えたい!と強く思い、家族で話し合いをした結果、その場で譲渡申請用紙を書いて後日自宅へ連れてきてもらうことになりました。

ーー保健所や譲渡会の光景やそこで感じたことを教えてください

譲渡会の最初の印象は、かなり小ぢんまりしているなということでした。もっと大体的に譲渡会を行っているボランティア団体もあったので、5〜6匹の猫だけの譲渡会は少し寂しいと感じました。ですが、小さい譲渡会だからそこボランティアさんとしっかりお話をすることができたり、1匹1匹の性格やどれくらい人に慣れているかなども聞くことができたと思います。

ーーあおちゃんを選んだ理由を教えて下さい

あおを選んだ理由は2つあります。

1つは息子が「この子がいい」と言ったことです。譲渡会には5〜6匹の猫がいましたが、他の子には目もくれずにあおのことを選んでくれました。どうしてもこの子がいい、他の子では嫌だといわれて、その時点で家族の満場一致でほぼ決定していました。

2つ目は、人に慣れていて子どもとも一緒に生活ができる猫だとボランティアスタッフさんに聞いたからです。猫の中には子どもが苦手で、一緒に生活をするとストレスを感じてしまう子もいます。自宅に子どもがいる以上、一緒に生活ができる子がいいと思っていました。 あおは、自宅へ来てからも子どもと一緒に寝てくれたり、大人しく抱っこさせてくれたりする優しい猫です。最初に、ボランティアスタッフさんに猫の性格を聞くことができてよかったと思っています。

ーーあおちゃんはどんな過去のお持ちでしたか?

あおの過去については詳しくは聞いていません。質問すれば、どんな過去があったのかを聞くことができたのかもしれませんが、どんな過去があってもあおと一緒に暮らしたいということに変わりはありませんし、必要なければ聞かなくてもいいかなと思いました。

もちろん、何かトラウマがあったり、気を付けなければいけないことがあれば教えてくださいとは聞きました。ですが、特にそのようなことはなく「人に慣れていて、寄り添ってくれる子なので、大切にしてあげてください」とだけお話ししてくれました。

ーーあおちゃんを決めたときに思ったこと、感じたことを教えてください

とにかく、これからの一生を幸せにしてあげよう!と思いました。譲渡会にいるということは、1度は何かしら辛い経験があるということなので、これから先は絶対にそういう思いはさせないようにしようね、と家族で話をしたくらいです。

そして、「うちの子」に

そして、「うちの子」に

ーー里親になるまでの流れを教えてください

里親になるまでには、譲渡の申請をするだけではなく、ボランティアスタッフさんが直接自宅に猫を連れてきてくれて、飼っても大丈夫な環境かどうかを見るという流れになっています。

まずは、譲渡会で譲渡の申請を行いました。アンケート用紙のようなものに、住所・名前・電話番号と簡単な質問がありました。一戸建てかマンションか、ペット可の物件かなどの確認で、全てに記入をします。申請をした日にあおを譲渡してもらうことはできず、後日都合のいい日に自宅に連れてきてもらうことになりました。

一週間後、自宅にボランティアスタッフさんがあおを連れてきてくれて、健康診断の結果とワクチンを打ったという証明書などを渡してくれます。あおを譲渡してもらう際には去勢手術でかかった費用とワクチン代をボランティアスタッフさんにお支払いしました。全て込みで2万円しないくらいだったと思います。

その後ボランティアスタッフさんが帰り、はれてあおはうちの子になりました。

ーー申し込み〜家庭訪問〜譲渡決定までのエピソードを教えてください

譲渡会へ行く前にいつ猫が来ても良いように準備をしていたので、とてもスムーズに自宅へ迎えることができました。 印象的な出来事は家庭訪問(自宅へあおを連れてきてくれた際)のときのあおの態度です。テーブルの下からジッと動かず、周りを見回してとても警戒しているようでした。もちろん、1日2日で慣れるとは思っていませんでしたが、何時間も一歩も動かない様子を見て、あまりの臆病っぷりに少し笑ってしまいました。やっと動いたと思ったらテレビボードの隙間に一直線!ずっと隠れる場所を探していたのかと思ったら、面白くて可愛くて仕方ありませんでした(笑)

ーー我が家に迎えてから現在まではどのように過ごしてきましたか?

はじめの数週間はお互いに距離を測りあい、あまり干渉せずにいました。1か月が過ぎたあたりからは家に慣れてきたようで、同じ布団に入ってきてくれたり、息子と一緒に昼寝をしてみたり。だんだんと馴染んできてくれたように思います。

譲渡会では「抱っこが好きな猫ちゃん」といわれていたのに、自宅へ来てから抱っこが嫌いなことがわかりました。ですが、息子に抱っこされるときは大きなため息をつきながらも大人しく抱っこさせてくれて、そのまま布団の上に連れていかれて一緒に寝ています。

最近では私から座椅子を横取りし、布団は真ん中に陣取り、正しく家の主のような風格になりました。気まぐれなところもあるけれど、気づけば隣に寄り添ってくれて、いつも一緒にいてくれる可愛い猫です。

自己満足の愛情になってはいけない

自己満足の愛情になってはいけない

ーーこれから里親になるひとにアドバイスをお願いします

猫の里親になり、一緒に生活を共にするのはとても簡単なことです。譲渡会へ行き、譲渡申請を済ませて家庭訪問を経て、譲渡してもらえば里親になることができます。

ですが、里親になる前に考えておかなければいけないのが、病気になったときの治療費をしっかりと捻出することができるのかということや、これから迎える子に幸せな一生を与えてあげることができるのかということだと思います。

実際に、あおをが家に来てから動物病院でかかった費用は数十万円という結構な金額です。また、結石ができやすいということが分かったのでご飯もお高いフードになっています。このような病院代や健康管理費を惜しまずに出してあげることができるのか?ということも重要ですよね。

また、猫は譲渡されてしまったら一生里親のもとで暮らさなければいけません。猫にとって家に来ることが幸せなのか、与える愛は自己満足になっていないかなどを里親になる前にしっかりと考えてみてほしいと思います。

飼い主:都澤
埼玉県在住|猫飼育歴:3年
埼玉県に住むママライター。猫がお腹の上に乗ったときの重圧感が大好き。

愛猫:あお
猫種:ハチ割れ
年齢:3歳
好きなもの:猫用にぼし、猫用カツオ節、ちゅーる
特徴:臆病で慎重な性格と鼻にある黒い模様

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