単身者でも保護猫の里親になれるのか?【一人暮らしの男性・高齢者は断られることが多い理由】
猫ちゃんを飼うなら保護猫の里親に。そんな選択も広まってきました。週末になると、あちこちで保護猫の譲渡会が開かれているのを見かけます。
そんななか「単身者に対する譲渡条件が厳しすぎる」という声がとても多いです。特に単身の男性、高齢者は猫ちゃんの里親になりたいと思っても、断られてしまうことが多いようです。今回はその理由を考えてみます。
単身者だと保護猫の里親になれない理由
私の友人の話です。ペットと一緒に暮らしたくて、ペット可の賃貸物件に住んでいました。以前から保護団体のブログで気になっていた猫ちゃんがいて、会えるのを楽しみに譲渡会に参加したのですが独身男性、仕事で留守がちということで譲渡を断られてしまったそうです。
なぜ単身者だと猫の里親になれないのでしょうか?
猫の里親になる条件は単身者には厳しい
各保護団体や里親募集サイトでは、独自の譲渡条件を設けています。多くは終生飼養を約束するものですが、里親になる人の条件を細かに指定していることが多いです。
例えば、特定非営利法人 ランコントレ・ミグノンの場合、里親の条件について以下のように明示しています。
- 生計を立てるお仕事をお持ちか、または準ずる収入があること。
- ペットを飼える住宅にお住まいであること。
- ひとり暮らしの方もしくは外国籍の方は、保証人もしくは後見人をたてていただきます。(同棲、友人と同居の場合も同様です。保証人は親族の方限定となります。)
- 諸事情により飼養が困難になっても、引き継いで終生飼養の責任を負っていただけることが前提です。
- 以下の方のご応募はお受けすることができません。
- 出産を控えているご家庭、未成年、学生、高齢者(60歳以上)だけのご家庭
- お住いが、東京都と東京都に隣接する地域(シェルターから30km範囲)以外である場合。
- 転居のご予定がある方。
- 終生室内飼いでお願いいたします。外飼いや玄関での飼育は不可。
- 特別な事情がない限り、先住犬、猫、兎が避妊去勢手術をしていること。
保護猫の体調や性格によっては、「留守番時間が4時間以内」「ワンルーム不可」「独身男性不可」など、単身者に厳しい条件になっていることもあります。
なぜ単身者は猫の里親になれないのか?
単身者が猫の里親になれない理由は、以下のように考えられます。
単身者は家をあける時間が長い
単身者は働き盛りの世代なことが多く、必然的に留守番時間が長くなってしまいます。留守番中にいたずらしてしまったり、誤飲してしまったりしても気づくことができません。急な出張や残業の際、ケージに長時間いれっぱなしにされる生活は猫ちゃんにとって快適ではないでしょう。
単身者はライフスタイルが変化しやすい
転職、転勤、失業、引っ越し、結婚などでライフスタイルが変化しやすいことも理由にあげられます。猫ちゃんは環境の変化にとても敏感でストレスを感じてしまいます。また、ライフスタイルの変化によって、猫ちゃんを手放さなければならなくなるケースも多いようです。
単身者に不測の事態があっても気づきにくい
単身者の場合、病気やケガをしてもフォローしてくれる人がいません。それに、突然死のリスクもあります。代わりに猫ちゃんのお世話をする人が身近にいなければ、単身者が猫の里親になることは難しいでしょう。
猫ちゃんが体調不良でも十分にケアできない
猫ちゃんも生き物ですから、病気やケガをしてしまうことがあります。そんなとき、仕事を休んで動物病院に連れて行ったり、つきっきりで看病をしなければならないかもしれません。休みが取りにくい職場だと十分にケアできないことも考えられます。
猫の里親募集が単身者に厳しい理由
実は上記にあげたものは、譲渡した保護猫が再び保健所や動物愛護センター、保護団体に戻されたときに多かった理由になります。
保護主さんは猫ちゃんに幸せをつかんでほしい、もう辛い思いをしないでほしいと願いをこめて里親を探しています。そのため、飼育放棄するケースのある単身者への譲渡を避けているようです。
独身男性の里親も断られやすい
過去に里親詐欺によって、多くの猫ちゃんが虐待され、命を奪われる事件がありました。独身男性が加害者になることが多かったことから、特に警戒されています。
高齢者が猫の里親になるのも難しい
単身者と同じように、高齢者が猫の里親になるのも難しいといわれています。家にいることが多そうな高齢者でも、なぜ猫の里親になれないのでしょうか。その理由は以下のように考えられます。
長生きの猫ちゃんが増えている
近年では、20年以上も長生きする猫ちゃんはめずらしくありません。そのため、終生飼養できるように60歳以上の方は里親になれない場合があります。
収入面での不安
猫ちゃんを育てるには想像以上にお金がかかるものです。高齢者でなくても、安定した収入がない場合は猫の里親になることはできません。
突然死のリスクが高い
里親になった高齢者が倒れてしまい、突然死。行き場のなくなった猫ちゃんが再び保健所や動物愛護センター、保護団体に持ち込まれることが考えられます。
単身者が猫の里親になるための条件とは
単身者に限らず、猫の里親になるには様々な条件をクリアしなければなりません。猫ちゃんのなかには、辛い体験をした子もいます。だから、終生飼養が約束できない環境、十分なお世話を受けられない環境に送り出せないという事情も理解できますね。
条件が厳しすぎて猫の里親をあきらめるケースも多い
ペットフード協会の調査によると、保護猫の里親になることを検討したものの、入手しなかった理由として「審査手続きがわかりづらく、面倒になった為」がいちばん多い結果になっています。
参考:一般社団法人ペットフード協会『平成29年 全国犬猫飼育実態調査 愛護団体からのペット入手について』
保護主さんはボランティアで保護猫活動を行っている方がほとんどです。自分の生活を削り、自腹を切って、保護猫の里親探しに尽力されているのです。そのように大切にお世話をした猫ちゃんだから、幸せになってほしいと願っています。だからこそ、信頼できる里親に託したいという気持ちから、里親を選ぶ目も厳しくなるのは当然ですね。
「ペット可」の物件に住んでいることが大前提
単身者に限らず、猫の里親になるには飼育環境が整っていなくてはなりません。まずは「ペット可の物件」に住んでいることが大前提です。「里親になることが決まってから引っ越す」では譲渡を受けることはできないでしょう。それから、ケージやキャットタワー、トイレの設置が可能かどうか、危険物が放置されてないかどうかも確認しておきましょう。
単身者が猫の里親になるための条件
条件を満たせば、単身者でも猫の里親になることができます。多くの場合は「後見人」が必要になります。後見人は血縁者であることが望ましく、猫ちゃんを飼える環境に住んでいる人であれば安心です。さらにペットシッターやペットホテルなど、不在時のセーフティネットも確認しておきましょう。
単身者に限らず、未婚のカップル、友人同士の同居の場合でも後見人を立てる必要があります。同居の解消とともに、猫ちゃんが再び住む家を失ってしまうケースを防ぐ目的があります。
高齢者が猫の里親になるための条件
高齢者が里親になる場合、子猫の譲渡は断られることが多いです。子猫は活発ですし、まだまだしつけも必要です。
また、単身者と同じく「後見人」が必要になります。本来であれば飼い主が変わってしまうのは望ましくありませんが、万が一のときに猫ちゃんの終生飼養の責任をまっとうしてくれる後見人を立てておかなければなりません。
人間も猫ちゃんも歳を重ねると病気が増えて、介護が必要になります。そうなったときに本当に自分でお世話ができるのかどうか、よく考えて里親になるようにしましょう。
まとめ
保護猫の里親になる条件が厳しい理由がおわかりいただけたかと思います。ですが、単身者だから、高齢者だからといって、猫の里親になれないということはありません。飼育環境を整え、何かあったときの後見人を立てておくことで猫ちゃんとの暮らしがかないます。
保護猫の里親になる条件がなぜ厳しいのか深掘りすることで、どんな環境が猫ちゃんにとって幸せか、いろいろな面から考えるきっかけになりました。
というわけで、今回は「単身者でも猫の里親になれるのか?【単身の男性・高齢者は断られることが多い】」について解説しました。
参考になれば幸いです。
では、また。
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